新潟は酒蔵だけじゃない!ここにしかないお酒を求めて!そうだ!酒屋に行こう①【地酒防衛軍 吉川酒店】/新潟市


2023年06月30日 6090ビュー
酒どころ新潟の蔵元の数は全国№1。個性豊かなお酒やお蔵が数多くあり、蔵を見学しながらお酒を買うのも楽しいのですが、それらのお酒を売る町の「酒屋さん」でお買い物するのも、とっても面白いんですよ!そこの「酒屋さん」にしかないお酒や飲み方など、新しい発見や出会いがあなたを待っています。

<場所はここ!駅やバスセンターからも近い>

今回ご紹介するのは、新潟市中央区西厩島町(にしうまやじまちょう) 通称「こんぴら通り」にあります「地酒防衛軍 吉川酒店」です。
住所の西厩島町は地元民でもなかなか読めません(笑)言ってもすぐに分からない人(タクシードライバーさんも)も多いので通称を使用することをおすすめします!!
 
駅を背にして古町方面に進み、万代橋を越えて右に入って行ったところ!
バスセンターくらいからなら歩いて行けます(駅から歩いて来る方も多いです)
駐車場もありますよ!

創業はおよそ180年前、幕末の頃

初代は奈良県の酒蔵の次男坊で、北前船に乗ってやって来たのだとか!


取材で訪れたこの日は、ちょうど年に2回あるという試飲販売会の日
コロナの影響で4年振りに開催された試飲会は、朝から多くのお客様で賑わっていました。
 

<地酒はおよそ30蔵!超お得な量り売りもあります>

吉川酒店では、新潟の地酒(およそ30蔵)と全国から厳選した焼酎やおつまみ、カトラリーなどもあります
(テレビでも紹介された人気のおつまみ)
取り扱っている30蔵のお酒を一つ一つ紹介したいところではありますが、時間が足りないので一言でまとめると……
ディスカウントショップやお土産屋さんでは手に入りにくいお酒がいっぱいあります!!
せっかく新潟に来たのだから、他ではあまり売っていないお酒をお土産にしたい……って思ったりしますよね。
酒屋さんにはそういったお酒や、プライベートブランドのお酒があったりするんですよ!!

そしておすすめしたいのが量り売り!!
 
こちらではお酒を1合(180ml)から量り売りで購入することができるんです。
4合瓶(720ml)一本はちょっと多い…いろんなお酒をちょっとずつ楽しみたい…
少しなら試してみたい…
そんなお客様の要望から始めたそうです。
私もお酒は大好きなのですが、下戸なのでこのように売って頂けるのはありがたい!!
 
お酒を入れる瓶をその場で購入して入れてもらえる他、蓋付きの瓶を持ってきてもOKです。
常時3種類ほどあり、お値段なんと一律370円(税込)※お酒の種類により値段が違う場合もあります。
でもちょっとお得過ぎませんか???
 
「周りからは安いと言われますが、量り売りで儲けようとは思っていないので(笑)
これだったら日本酒を飲んでみようかなっていう一つのきっかけになってくれれば将来的にプラスだし、実際、これがきっかけでハマったお客様もいました」

そうお話してくれたのは店主の吉川隊長
社長でも店長でもなく「隊長」なのです!!

ここで隊長が隊長たる所以をたっぷりお話しちゃいましょう。

<防衛軍 隊長にお話を聞いてみた!>

店主の吉川章大さん。
群馬のスーパーマーケットに10年勤務した後、吉川酒店の5代目として新潟にUターン。

――酒屋さんの5代目として、家業を継ぐのは約束だったりしたんですか?
 
吉川さん:
父親はいっさい「継いでくれ」とは言わなかったです。むしろ「継ぎたいなら継がせてやる…」というスタンスでした。

 
 
――では、新潟に戻って酒屋さんになろうと思ったきっかけが?
 
吉川さん:
母親が後天的な障害をもっていて、その身体の調子が悪くなってきたのもあり助けたいと思って「継がせて下さい」と言いました。

 
――まぁ!なんて優しい!きっとお父様も内心は喜んでいたと思いますよ!!
 
吉川さん:
今のお店からは想像できないかもしれませんが、継いだ当初は売上の7割がビールだったんです。時代背景もありましたが。
で、ディスカウントストアやドラッグストアがビールやお酒を売り始めた頃でもあり、僕はスーパーでのビールの安売りをずっと見てきていたので“これは勝負にならない”と思いました。
でも、周りを見れば新潟の酒がある!武器がある!って、ビールから地酒に少しずつ変えて、その間少しずつ日本酒を求めるお客様を開拓しました。10年かかりました。

 
――スーパーでの経験があったからこそですね!お店の名前の「地酒防衛軍」というのは吉川さんの代になってからなんですよね?
 
吉川さん:
そうです。先輩の酒屋さんが同じ吉川酒店で、問屋さんが荷物を間違えたり、お客様が間違えてしまったりすることが多くあって、ややこしいということで冠を付けることにしました。
実は3歳の頃から現在も(笑)ウルトラセブンが大好きだったこともあり、地球防衛軍の「球」を「酒」に代えると「地酒防衛軍」になるというシャレで付けました(笑)
でも、新潟の地酒を守るという自分たちがやってきた行動ともリンクしたので。
今では吉川酒店ではなく、防衛軍と呼ばれることの方が多いです(笑)

 
――吉川店長ではなく、吉川隊長とか隊長って皆様仰いますよね(笑)
(店内にはいたるところにウルトラマンが!)
――防衛軍(私もそう呼んじゃいます)にしかないお酒がいくつかあったような気がするんですけど?!
 
吉川さん:
酒蔵さんが造る実験酒のことかな?目指す酒質を造るために、仮説をたてて造る実験酒があるのですが、それらはイベントなどで消費するんです。でも、コロナ渦でイベント自体がなくなり、飲んでみたら美味しかったので売ることにしました。
だから売り切りで終わりですし、今後はイベントも復活しますからこのようなお酒が店頭に並ぶ機会は少なくなると思います。
 
しかし、このようなレアなお酒が手に入るかもしれない…というのも、酒屋さんだからこそ
この日の試飲会でも、防衛軍仕様の特別なお酒がありました!
 
新しいお酒を開発するときには、日頃からお客様(飲み手)の声を聞いている吉川さんに相談する酒蔵さんも多いそうです。
吉川さん:
飲み手の顔が見えないと発想って浮かびませんし、変わる環境や時代に適応し、生き残って続いていったものが伝統になるんだと思います。

 
――なるほど!では吉川さんが今注目しているお酒がありましたら教えて下さい。
 
吉川さん:
阿部酒造の「あべ」と天領盃酒造の「雅楽代(うたしろ)」ですね。
阿部酒造は圧倒的にうまい酒を造るというのをモットーとしていて、贅沢な造りをしている分値段も他より高いんですが、その姿勢を貫いてきたのが凄いと思います。
ユナイテッドアローズと協業して造ったお酒もあるんですよ。

天領盃酒造は、若干24歳で莫大な借入をして蔵を買った加登くんの男気が凄いと思ったし、実際造ったお酒が予想外に(失礼 笑)美味しかったんです。
今ではJALのファーストクラスの機内酒に選ばれるほどになり、さらに延びていくんじゃないかなと思っています。
 

――では最後に、吉川さんが思う新潟の地酒の魅力ってなんですか?
 
吉川さん:
食に寄り添うお酒が多いというところでしょうか。お酒と一緒に食べると料理も酒も一層美味しくなります。
あと、酒蔵と飲み手との距離が近いというのもその一つ。
今日の試飲会もそうですし、その最たるものが「酒の陣」だと思います。
さらに、生産地と消費地がリンクしているのも珍しいですね。

 
――確かに新潟はたくさんお酒を造って地元でたくさん消費していますね!地元にいるとそれが当たり前で気が付きませんでした!
隊長!勉強になります(笑)

<試飲会を体験してみた!>

4年振りに再開された試飲会の日でしたので、こちらの方も体験してお伝えしたいと思います(仕事というのを言い訳にお酒が飲みたいだけだろ!というツッコミは……)

猪又酒造の代表銘柄の新商品「tsukimizunoike prototype」
 
新商品情報も蔵人さんからガッツリ聞けちゃいます。
一足早く情報ゲットしてドヤ顔しちゃおう!

頚城酒造さんからは発売前のお酒も!!
 
防衛軍についてお話をお伺いしたところ、
「酒蔵を育ててくれる酒屋さん。お酒のことはもちろん、蔵人のことも伝えてくれる。だからみんなが“隊長どうしたらいいですか?”と相談するんだと思います」
 
 
石塚酒造さんからは111周年のお酒「ヒメノイ ヤミ直汲」234本しかないレアな日本酒が!!!
もち米四段仕込みは新潟県内でも石塚酒造さんならでは。しかも生産数が少ないので市内でパッと買えるお店は少ないです。
 
LAGOON BREWERYで修行を終えた藤本千央さんのどぶろくもありました。
こういったチャレンジ酒もこの時だけのもの
女性らしい繊細さが感じられて、すごく飲みやすかったです!
そしてお酒だけではなくこんなものも発見!!
日本酒に入れるスパイス?!
日本酒入りのスイーツ?!
新しい日本酒の楽しみ方を教えてくれた松本さんからは、吉川さんについて「隊長の人柄に人が集まり、そして人が人を呼ぶ…まるで磁石のような人だ」とお話し頂きました。
そしてなんと、この日をめがけて大阪からいらっしゃったお客様も!
仕事で新潟に来たのがきっかけで食と日本酒にハマってしまい、今では食事と日本酒を楽しむためだけに年3~4回訪れているとのこと。数年前に防衛軍を紹介され、訪れたらすっかりファンになってしまったのだとか。
「買って帰って飲むのと現地で飲むのとでは根本的に違う気がして、気候や風土が違うからかな?現地で食べたり飲んだりする方が美味しい気がします。来る理由はそれに尽きます」
 
まぁ!すごく嬉しいお言葉!!
新潟の食やお酒を好きになってくれてありがとーーーーッ!!!!
 
蔵人さん、そして集まったお客様同士が、好きな日本酒トークで仲良くなれちゃうんです❤
隊長!試飲でほろ酔い気分になってしまったので、本日のミッション終了します(敬礼)

店舗情報

「地酒防衛軍 吉川酒店」
新潟県新潟市中央区西厩島町2346(こんぴら通り)
025-222-2832
営業時間
平日9:00~20:00
土・日曜日10:00~19:00
定休日火曜日

地酒防衛軍 吉川酒店

この記事を書いた人
おくちゃん

WEBライター/日本酒ナビゲーター/スイーツコンシェルジュ 新潟市南区出身。
美味しいもの大好き!
油ものとお腹周りがキツくなってきたアラフォー・2児の母。

PR