JR東日本「鉄道大回りの旅」にチャレンジ!


2021年09月30日 15692ビュー
ちょっとだけ?鉄道好き女子の小柴ぱせりが、今回はJR東日本新潟支社所属のリゾート列車、ではなく、特別な鉄道旅を紹介します。
運賃計算の特例を利用する「鉄道大回りの旅」です。
JR東日本のホームページ、きっぷのあれこれの部分にあります、「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」に、詳しいことが書いてあります。が、簡単に言うと以下の通り。
 
全国で5都市だけの特例で、同じ駅、同じ路線を利用しなければ、実際にどのような経路を通っても、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車できます。
これを逆手に取って、隣の駅に向かうのに反対方向の電車に乗って一筆書きで遠回り。
これを「大回り」と、言います。
 
例えば、新潟駅から隣の越後石山駅に向かうのを、白新線の豊栄方向へ移動して新発田に向かい、羽越本線で水原を通って新津に行き、信越本線で新潟方向に向かい、越後石山駅で降りる。この旅が、隣の駅までの運賃で可能です。
 
Suica利用だと、改札内滞在時間が長過ぎて、改札で不具合を起こす可能性があるので、切符を買って有人改札を通ってくださいね。
さて、大回りの開始は古津駅、目的地を新津駅に設定して、時刻表を見ながら行程を考えました。この時間も楽しいのです。
古津駅は桜の名所で、春になるとホームいっぱいに桜が咲くのがキレイですよ。
乗った車両はE129系、銀の車体に黄色とサーモンピンクのラインが入っている、いわゆる通勤電車です。
新潟地区を走る主力の115系の取替え用として2014年に新造された直流電車で、椅子のピンク系パッチワークのテキスタイルが好き。トイレもユニバーサルデザインを考慮した広めのスタイルです。
信越本線はしばらく左手に山、右手に田んぼと緑に囲まれた中を走ります。
だんなの鉄道小話。
加茂駅の手前、加茂川を渡る橋の下流側に蒲原鉄道の線路跡が残っている。
そこからしばらくは田んぼの中、見附から先はレンコン畑の中を抜けて長岡駅へ到着。
だんなの鉄道小話。
長岡駅から宮内駅の間に、貨物の南長岡駅と長岡車両センターがあるので、電車好きにはたまらないポイント。
宮内駅からは上越線に乗り換えることができるが今回は柏崎方面へ。
右に大きく曲がって信濃川を渡ると、しばらく山の中を走る。いくつかトンネルも抜ける。
越後岩塚駅の左手の山の上に大きな神社が見える。寳徳山稲荷大社。
駅から歩いて行けるようだが、大回りのルールでは途中下車できないので見送り。
塚山駅を越えるとすぐに世界的スポーツ企業ヨネックスの工場がある。
長鳥駅はホームがとても狭いことで有名。ここを特急列車が高速で駆け抜けるのでなかなか怖いらしい。
一度降りてみたいが次の電車が1時間後と考えるとなかなか…。国道からも離れているので、新潟県内ではちょっとした秘境駅。
柏崎駅で乗り換えです。0番線、行き止まりのある線路からの出発です。
先に購入した新津の神尾弁当部さんの新しい駅弁と、お弁当のサンドイッチを広げて食べました。
駅弁容器の中、ご飯の上におかずがのっています。少なめかなと思ったけど、満足度高い!容器の蓋にパッキンがあり、汁漏れ防止かな?再利用できますね。
だんなの鉄道小話。
柏崎駅の広い構内、一番線西側には貨物ホームも残っているので、好きな人には見所。
柏崎~吉田~内野~新潟間は、電車の運行数が全く違うので、行程が組みにくい。越後線吉田〜内野間は1時間に1本、柏崎まではさらに減って3時間に1本。大回りの旅にはネックになる部分。
吉田で乗り換え。吉田からは弥彦線で弥彦まで行けるが、盲腸線なので大回りのコースには入れられず。
越後線…眠くなりますね。山から川を渡って、平野、住宅街へと、景色が変わっていきますが、なにしろ柏崎駅~新潟駅間は長い!がんばれ〜。
だんなの鉄道小話。
関屋分水を渡ると関屋駅。
そのすぐ手前の踏切は「競馬場踏切」、かつてここに競馬場があったが関屋分水を作る際の住民の代替え地として使われて移転したとか。かつては競馬場マーケットという公衆市場もあった。
白山駅を越えて信濃川を渡る。越後線ができた当初は信濃川の川幅が広く橋がかけられなかったので、終着駅は白山駅(現在の鏡淵小学校あたり)だったとか。その後白山駅から新発田駅までを結ぶ路線として計画されたのが白新線。白新線の名前の由来は越後線の白山駅と羽越本線の新発田駅からとられたが、路線としては新潟駅までになる。
真新しい坂を登り高架化工事中の新潟駅に到着。新潟駅は改札内にもNewDaysがあるので、ちょっとひと息。
いつも大回りをすると、この辺で息切れします。ん?いつも大回り?ええ、年に一度はするかもしれません。
長い行程にしなければいいだけの話なんですけど、やってしまうんですよね…。この辺が、鉄分高いという所以でしょうか。
だんなの鉄道小話。
白新線へ乗り換え。新潟駅をでるとしばらく信越本線と並んで走る。この辺りが上沼垂信号場。隣接して新潟車両センターもある。総合車両製作所新津事業所で作られた首都圏向けの新型車両がここから出発するので、新潟では見ることのない電車がたまに停まっている。リゾート列車の海里やSLばんえつ物語客車、特急列車も見ることができる。

東新潟駅に近づくと貨物駅が広がり、多くのコンテナ車、機関車を見ることができる。新潟新幹線車両センターも近い。
黒山駅は無人駅だが広い構内を持つ。これは新潟東港方面へ専用線が繋がっているため。東港にある新潟トランシスで作られた鉄道車両を輸送するのにも使われており、見たこともない新型車両が停まっていることがたまにある。

西新発田駅付近から新発田駅までは商業地住宅地が続く。昔は田んぼの真ん中にあるなんにもない駅だったが、ずいぶん変わった。
右手に笑顔のガスタンクが見えると新発田駅。ここで最後の乗り換え。
今日は平日、ちょうど学生さんの帰宅時間のようで、駅には学生たちがいっぱいいました。
だんなの鉄道小話。
新発田駅からは北は村上方面。かつては赤谷線がここから分岐していたが、今はサイクリングロードになっている。駅前の新発田市観光情報センターにレンタサイクルがあるのでツーリングもいいかも。

白鳥で有名な瓢湖近くの水原駅周辺以外はずっと田んぼの中を走るローカル線だが、北海道東北から大阪西日本方面への重要な物流路線で、貨物列車が多く走っている。
京ヶ瀬駅を越えて阿賀野川を渡る。阿賀野川橋梁はかつて日本最長の鉄道橋だった。広い河原の上はガーター橋、川の上はトラス鉄橋。
新津駅側からひとつ目のトラスだけ形が違うのは、阿賀野川の土手にかつてあった踏切での大事故によるもの。衝突したトラックと蒸気機関車は川へ転落。橋も落橋したのだとか。
橋を渡ると左に大きくカーブ。新津駅に入る。

最後の見どころは新津駅手前、全国的にも珍しい線路の平面交差。前面展望で確認がオススメ。
新潟をぐるっと回っておよそ8時間の190円旅、いかがでしたでしょうか?
改札を出るときは、駅員さんのいる通路で「大回りしてきました」と伝えましょう。
 
もし、改札を出て待ち時間を過ごしたい場合は、乗り降り自由のフリーきっぷをオススメします。この旅の範囲ならえちごツーデーパス、もう少し狭い範囲でいいならえちごワンデーパスを利用します。ともに利用範囲、利用可能日を確認して購入しましょうね。
おまけ
いま、秋葉区では鉄ぶら抽選会というスタンプラリーを開催中です。
ぜひ電車に乗って、遊びに来てください。

大回り経路

この記事を書いた人
小柴ぱせり

72年新潟市生まれ、99年結婚、夫婦二人暮らし。イラスト描きます。 読書、創作、映画、音楽、演劇、着物など、文化系多趣味で、ちょっと?鉄子。企画運営好き。 15年-18年は信州暮らし。
https://314musubiya.9nzai.net/

PR