パン通も唸る!シンプルを極めた先にある真のおいしさ「薪窯パン舎 ほほ」/新潟市


2024年01月05日 2011ビュー
袋を開けた瞬間、ふわりと立ち上る芳ばしい香り。
カットをする度に、部屋中が小麦の芳醇な香りに包まれる。
一口頬張ると、おいしさで満たされて幸せな気持ちに───

日常の食卓に"ちょっとした特別感"をもたらしてくれる、大好きなパンがあります。

今回は新潟市西区にある「薪窯パン舎 ほほ」をご紹介します!

佐潟のほとりに佇むパン屋

画像提供/佐潟水鳥・湿地センター

新潟市西区のはずれにある、全国有数の白鳥の飛来地「佐潟」。ラムサール条約に登録された国内最大の砂丘湖で、貴重な水辺の生き物のほか、冬には白鳥を始め多くの渡り鳥が飛来地として訪れるなど、豊かな自然が溢れています。

その佐潟を眺めるように道を挟んで向かいに佇むのが「薪窯パン舎 ほほ」。北海道のパン工房で修業を積んだ店主・佐護さんが奥様の故郷である新潟に移住し、2022年に国産小麦を使った薪窯パンのお店をオープンしました。
店主/佐護裕太郎さん

お店のオープン日は週3日程度。一般的なパン屋さんと比べると少なく感じるかもしれません。パンの種類も、所狭しと何十種類も並ぶわけではなく、厳選された数種。

ちょっと個性的な同店ですが、パン通たちが足繁く通うのには理由があります。

使用する小麦は国産小麦のみ

元々は、東京や神奈川などのパン屋で経験を積んだ佐護さん。北海道を訪れた際に国産小麦の薪窯パンに出会ったことをきっかけに、北海道のオーガニック薪窯パン工房に弟子入りし、4年間修業を積みました。
そこで学んだことは「小麦は土からできている」ということ。それまで、製粉された状態の小麦粉しか知らず、麦も麦畑も見たことがなかったのだとか。

「小麦畑に足を運び農家さんと会話を重ねるうちに『小麦は土から生まれた作物でそこからパンはできている』という当たり前のことに気づきました。それから、農家さんと共に歩むパン屋でありたいと思ったんです」と話します。
同店では北海道産小麦に加え、新潟産小麦も使用。知り合いを伝って阿賀野市の小麦農家さんに出会ったそうです。〈ゆきちから〉や〈有機ライ麦〉を製粉されていない原粒でもらい、自分で挽いて全粒粉にしたものを食パンなどの一部のパンで使用しています。

手ごねによる昔ながらの製法で

生地は機械ではなくヨーロッパの昔ながらの製法に倣い、手でこねます。

北海道時代から継いでいる、ルヴァンと呼ばれる発酵種を使い、ゆっくりゆっくり時間をかけて生地を発酵。卵、砂糖、バターは極力使わずに、粉と塩と水のみで作られるパンが多く並びます。

自ら組んだ手作りの薪窯

パンを焼くのはオーブンではなく、薪窯。しかも、佐護さんを中心に家族や友人・知人の力を借りながら、一つ一つレンガを組んで手作りをしたというから驚き!窯まで手作りしてしまうなんて、薪窯パンに対する熱い情熱が凄いです。
早朝お店に着くと、まずは2時間ほど薪をくべ続けて窯を高温に。火を消して温度が下がっていく中で、その余熱でパンを焼き上げるのだとか。サウナのような遠赤外線効果で焼き上げることで、外はカリッと、中はモッチリとした薪窯パンに仕上がります。

「その日の天候や湿度、室温によって薪や窯の状態が変わるため調節が難しいのですが、そこがおもしろいと感じる所ですね」と佐護さん。
パンが店頭に並ぶまで、製造工程は3日間。同店のパンが美味しい理由の裏側には、丁寧に手間暇かけて作られた過程があったのでした。

薪窯パンのご紹介です!

カンパーニュビオ/ホール1,400円 ハーフ700円

佐護さんが「まずはこれを味わって頂きたい」とおすすめするのがこちら。オーガニックの北海道産小麦〈キタノカオリ〉100%使用のカンパーニュビオ。

シンプルだからこそ、小麦の香りや美味しさがストレートに味わえる一品です。とても香り高く皮はカリッ、中はモチモチで、噛めば噛むほど小麦の旨味が口の中に広がります。そして特徴的なのが酸味。同店のパンの面白さは、熟成を愉しむところにあります。

購入の翌日はまだ酸味が強く、日毎にだんだんと和らいでいき、滋味深い味わいに。冷蔵庫で保管すれば1~2週間は日持ちします。
カンパーニュビオいちじく/ホール1,600円  ハーフ800円

カンパーニュビオの生地に、有機いちじくをごろっと包み込んだ一品。いちじくの甘さとカンパーニュビオの酸味が相まってこちらもとっても美味しいんです!
※写真は特大2キロ(左)と、通常ホールサイズ(右)

同店のパンは大きなホールサイズと、そのハーフサイズでの販売がほとんど。大きいサイズで焼いた方が、中に水分が閉じ込められてしっとりモチモチとした仕上がりになるとのこと。

そのため、一般的にパンは日が経ったり冷蔵庫に入れたりすると固くなりますが、同店のパンはリベイクすればカリモチ感が復活して美味しく頂けるので、長く味わえます。

(※リベイク…トースト前に霧吹きなどで湿らせてから、トースターでパンを温め直すこと。)
薪窯バナナブレッド/ホール1,200円 ハーフ600円

オーガニック〈キタホナミ〉を使用し、太白ごま油でスッキリとした甘さに仕上げた一品。パンと言うよりもケーキに近いしっとり感があります。甘さもあるので我が家の子どもたちも大好きなんです!
同店のパンを購入してまず驚くのは、持った時に感じるずっしりとした重み。ホールやハーフサイズでの販売となると、一見お値段が高く感じるかもしれませんが、中身が詰まっていて一切れの食べごたえが違います◎

期間限定で県産野菜を使ったフォカッチャやバゲットなども登場するので、同店のInstagramをチェックしてみてくださいね。

おいしくて体にいい薪窯パン

大きくて、どこか無骨で、ずっしりと重たいほほの薪窯パン。口にすると、中は驚くほどもちもちでしっとり。小麦の風味と味わいをダイレクトに感じられ、食卓を幸せな気持ちにさせてくれます。

そして、おいしいだけでなく、国産小麦と自家製天然酵母を使った全粒粉の薪窯パンは消化がよく、人の体にも優しいのです。

北海道や新潟の土壌で大切に育てられた小麦を、丁寧に丁寧に。自然と寄り添う薪窯パンを、ぜひ一度味わってみてください。
薪窯パン舎 ほほ

薪窯パン舎 ほほ

新潟市西区赤塚1566
営業時間/12:00~16:00
定休日/月・火・水・隔週木曜、ほか
駐車場/4台

※隔週木曜と金・土・日曜がオープン日
詳細はインスタグラムにて

※画像一部提供/薪窯パン舎ほほ様

この記事を書いた人
エムコネ

富山県生まれ、新潟市在住のママライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私、の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中! 

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